MCナイロンとジュラコンの強度比較|材料選定で失敗しない完全ガイド
MCナイロンとジュラコン(POM)は、耐摩耗性や強度に優れたエンジニアリングプラスチックとして広く利用されます。しかし、両者の強度特性や用途適性には明確な違いがあり、選定を誤ると組立不良や摩耗、寿命低下の原因になります。本記事では、MCナイロンとジュラコンの強度比較、設計での考慮ポイント、加工上の注意点、用途別の最適選定までを徹底解説し、失敗しない材料選定をサポートします。
MCナイロンの基本特性と強度
MCナイロンは耐摩耗性、衝撃靭性、耐疲労性に優れ、金属代替材としても活用されます。代表的な物性値は以下の通りです。
| 特性 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 80〜100 MPa | 常温・乾燥状態 |
| 降伏点 | 60〜70 MPa | 長期荷重下での変形目安 |
| 衝撃強度 | 6〜8 kJ/m² | ISO179規格 |
| 吸水率 | 0.5〜2.0% | 厚肉部品では膨張量が大きくなる |
MCナイロンは水分を吸収すると膨張し、寸法変化が起きます。そのため精密部品や嵌合部品では吸水後寸法を考慮した公差設計が不可欠です。加工直後は内部応力により寸法が安定せず、乾燥や安定化処理を行う必要があります。MCナイロンに関して解説で詳しく解説しています。
ジュラコン(POM)の基本特性と強度
ジュラコンは剛性が高く、低摩擦特性と寸法安定性に優れます。精密ベアリングやギア、スライド部品などで重宝されます。物性値は以下の通りです。
| 特性 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 60〜70 MPa | 常温・乾燥状態 |
| 降伏点 | 50〜60 MPa | 長期荷重下での変形目安 |
| 衝撃強度 | 4〜6 kJ/m² | ISO179規格 |
| 吸水率 | 0.2〜0.5% | 寸法安定性が高い |
ジュラコンは膨張が小さく、精密嵌合部品やスライド部品に適しています。衝撃にはやや弱いため、高荷重や摩耗が激しい用途には注意が必要です。精密加工では熱による白化や表面損傷が起きやすいため、切削条件の最適化が重要です。
MCナイロンとジュラコンの強度比較
両者の強度差は用途に直結します。比較ポイントは以下です。
- 引張強度:MCナイロンの方が高く、衝撃荷重や摩耗環境に強い
- 降伏点:MCナイロンは60〜70MPa、ジュラコンは50〜60MPa。長期荷重での変形に注意
- 寸法安定性:ジュラコンは吸水率が低く、精密部品向き
- 加工性:MCナイロンは吸水膨張を考慮した加工寸法設定が必要、ジュラコンは加工後安定性が高いが切削熱に注意
用途別の材料選定ガイド
用途に応じて最適な材料を選定することで、製品寿命や性能を最大化できます。
- ギア・カム・衝撃荷重部品:耐摩耗性と衝撃吸収性に優れるMCナイロンが最適。嵌合部のクリアランスは吸水膨張を加味して設定。
- 精密スライド・ベアリング・寸法安定が必須の部品:ジュラコンの低吸水率と高剛性が有利。加工後の寸法安定性が高く、嵌合精度を確保しやすい。
- 屋外・高湿度環境:MCナイロンは吸水による膨張が大きくなるため、表面コーティングや乾燥管理が重要。ジュラコンは寸法変化が小さいため安定性が高い。
- 耐摩耗性重視の摺動部品:MCナイロンの方が摩耗抵抗が高く、メンテナンス頻度を低減可能。
設計で考慮すべき強度ポイント
強度設計では、以下を意識することでトラブルを防げます。
- 荷重方向と負荷周期:MCナイロンは衝撃荷重や繰り返し荷重に強く、ジュラコンは静荷重での寸法安定性が強み。
- 部品肉厚と形状:厚肉部品は吸水膨張が大きいため、MCナイロンではリブ設計や均一断面を意識。
- 公差設計:MCナイロンは吸水膨張を想定したクリアランスを設定、ジュラコンは寸法変化が少ないため精密公差が可能。
- 温湿度環境:両材質とも高温多湿では強度や寸法に影響。環境条件を反映した設計が必要。
加工・組立の注意点
MCナイロンとジュラコンは加工後の寸法安定性や組立性が異なります。
- MCナイロンは切削直後に吸水膨張が生じる場合があるため、乾燥・安定化処理が必須
- ジュラコンは寸法安定性が高いが、切削熱による表面白化や摩耗を防ぐ条件設定が必要
- ボルト締結部品では、MCナイロンは締結力低下の可能性があるため、トルク設定を低めに調整
- 嵌合部品は、吸水後寸法を反映した設計公差を適用することで組付け不良を防止
よくある質問
まとめ|失敗しない強度設計と材料選定
MCナイロンとジュラコンはそれぞれ強度特性や寸法安定性が異なるため、用途に応じた適切な材料選定が重要です。衝撃・摩耗重視ならMCナイロン、寸法精度・低摩擦用途ならジュラコンが最適です。