mcナイロンの旋盤加工で精度が出ない、思った寸法に仕上がらない、加工後に寸法が変わる──こうした悩みは、加工技術の問題というよりも設計・加工条件・工程判断の積み重ねによって生じているケースがほとんどです。
本記事では、mcナイロン旋盤加工における精度低下の原因を整理し、実務で精度を高めるための具体的な方法を体系的に解説します。
mcナイロン旋盤加工で精度が出ない理由
mcナイロンは金属と異なり、加工時の挙動が非常に不安定な材料です。旋盤の精度が高くても、材料特性を無視した加工では寸法精度は確保できません。
材料特性による精度阻害
- 切削熱による膨張・収縮
- 内部応力の解放による寸法変化
- 弾性変形による加工中と加工後の差
これらは加工中には見えない精度ズレを生み、完成後に問題として顕在化します。
金属加工の考え方を流用している
mcナイロン旋盤加工で精度が出ない最大の原因は、金属と同じ感覚で条件を設定してしまうことです。回転数、切込み量、チャッキング力など、金属基準の設定は精度低下を招きます。
旋盤加工で精度を高めるための基本原則
mcナイロン旋盤加工で精度を高めるには、まず以下の原則を理解する必要があります。
- 一度で仕上げようとしない
- 発熱を極力抑える
- 加工中と加工後は別物と考える
この考え方が、以降のすべての精度対策の土台になります。
切削条件で精度を高める方法
切削速度と送りの最適化
mcナイロン旋盤加工では、切削速度を上げすぎると摩擦熱が増大し、加工中の膨張量が大きくなります。結果として、冷却後に寸法が縮み、狙い寸法を外します。
- 回転数は控えめに設定
- 送りは一定に保つ
- 仕上げ工程では送りを落とす
発熱を抑えることが精度確保の第一条件です。
切込み量は小さく分ける
大きな切込みは加工抵抗と変形を生みます。荒加工と仕上げ加工を分け、仕上げはごく薄い切込みで行うことで寸法安定性が向上します。
刃物選定が精度を左右する
mcナイロン旋盤加工では、刃物選定が精度に直結します。切れ味の悪い刃物は材料を押し潰し、寸法誤差の原因になります。
樹脂加工に適した刃物条件
- すくい角を大きく取る
- 切れ味重視の研磨刃
- 摩耗した刃物は使用しない
精度は機械よりも刃物で決まると言っても過言ではありません。
チャッキングと固定方法の最適化
旋盤加工での精度は、材料の固定方法に大きく左右されます。mcナイロンは柔らかいため、強く掴むだけで変形します。
精度を落とさない固定の考え方
- 掴み力を最小限にする
- ソフトジョーを使用する
- 長物はセンター支持を併用する
加工中は真円でも、外した瞬間に歪むケースは珍しくありません。
工程設計で精度を引き上げる方法
荒加工と仕上げ加工を分ける
高精度を狙う場合、荒加工後に時間を置き、内部応力を解放させてから仕上げ加工を行います。この工程設計が精度安定に直結します。
温度を考慮した工程判断
加工直後の測定値ではなく、常温安定後の寸法を基準に判断することが重要です。
設計・発注段階で精度を高める実務判断
mcナイロン旋盤加工の精度は、加工現場だけでなく設計段階でほぼ決まります。
公差設定を見直す
本当にその寸法精度が必要なのかを再確認することで、精度トラブルは大きく減らせます。金属基準の公差をそのまま流用するのは危険です。
加工業者への情報共有
使用環境、重要寸法、精度優先かコスト優先かを明確に伝えることで、最適な加工判断が可能になります。mcナイロン素材特性についてはmcナイロンに関して解説で詳しく解説しています。







